ハイドロコロイドって知っていますか?
ケガをした傷がキレイに、しかも痛みを減らしながら治しちゃうことができるケガの必需品とも言えるものなんです。
このハイドロコロイドなどを使用して、乾燥させずに傷を治す治療を湿潤療法と言います。
医療関係のお仕事をしている人以外はあまり聞きなれないかもしれないハイドロコロイド。
実はハイドロコロイドを知らなくてもこの商品名なら知っているという人が多いはずです。
それは『キズパワーパッド』です。
キズパワーパッドはこのハイドロコロイドでできているんです。
ハイドロコロイドの商品名と言ってもいいですね。
ハイドロコロイドは他にも色々な商品名でドラッグストアやネットで売られています。
私は看護師でして、私の働いていたとある病院の医師が湿潤療法で傷ややけどを治療しています。
- キレイに治る
- 治りが早い
- 痛みが少なくなる
子どもってケガしやすいですよね。
転んでも絆創膏ぺったんで終わらせずに、湿潤療法を行なうと子どものケガもキレイに早く治せますよ。
病院へ行く程でもない軽いものなら自宅で自分で処置できる場合もあります。
ハイドロコロイド以外にも役立つ商品や自宅にあるものでやけど治療の代用ができるんです。
今日はそんな時に役立つ情報を紹介したいと思います。
目次
湿潤療法で魔法のように傷を早くキレイに痛くなく治しましょう!!
- 子どもが転んで膝から血を流してる〜
- ちょっとやけどして小さな水ぶくれができちゃった
- ペットの猫に引っ掻かれてしまった…
これって病院へ行くべきなのかと悩むときってありませんか?
子どものことになると、小さなケガでも心配してしまいますよね。
ちょっとした傷なんかでも大げさに痛がったりすることもあるから病院へ行くかどうか悩んでしまうお母さん・お父さんも多いと思います。
そんなケガや傷、やけど、湿潤療法という治療で簡単に治すことができるかもしれませんよ!
湿潤療法って何?
湿潤療法(しつじゅんりょうほう)は、創傷(特に擦過傷)や熱傷、褥瘡などの皮膚潰瘍に対し、従来のガーゼと消毒薬での治療をせずに、「消毒をしない」「乾かさない」「水道水でよく洗う」を3原則として行う治療法。モイストヒーリング、閉鎖療法、潤い療法(うるおい療法)とも呼ばれる。
出典:Wikipedia
私たちが小さかった頃は、転んでケガをしたら水で洗ってマキロンとかで消毒して絆創膏を貼ってもらいましたよね。
そして、かさぶたができてそのうちかさぶたが剥がれたら治っていたという感じでした。
一昔前はこのように傷は乾燥させて治すというのが主流でしたが、その全く逆の考えが湿潤療法なのです。
ようするに、乾燥させないでわざとじくじくさせながら治していきます。
これが本当に驚くほど早く、そしてキレイに治るんですよね。
なにより消毒液がしみるとか
ガーゼがくっついて痛いとか
かさぶたをはがしちゃってまた血が出てきて全然治らないなんてことがなくなります。
どうして乾燥させちゃいけないの?
ケガをすると傷口はじくじくして黄色っぽいつゆが出てきますよね。
このつゆは医学用語では浸出液(しんしゅつえき)と呼ばれていて傷を直すのに重要な役割を果たしてくれる良いものなんです。
消毒したりガーゼで出てきたつゆを吸い取ってしまっては傷の治りが遅くなってしまうんですよね。
おまけに消毒するという行為自体が本当はダメなんです。
消毒すると傷口についたばい菌などをやっつけてくれる良いイメージがあるかもしれません。
しかし、実は消毒することによってバイ菌ではなくて私たち人間の皮膚(ひふ)も壊してしまうんです。
せっかくつゆが出て傷を治そうとして体が頑張っても消毒することですべてをぶち壊してしまっていたんですね…
消毒することで傷はさらに深くなり治りが遅くなっしまっていたのです。
ちなみに、このつゆですが、どろっとした黄緑色〜黄色の粘り気が強い場合はつゆではなく膿(のう)や膿み(うみ)といいます。
傷にばい菌がついているかもしれないので病院での治療が必要になることもあります。
つゆはあくまでもさらさらで薄い黄色なので注意してみてくださいね。
傷を乾燥させてはいけない理由は、傷を直すために一生懸命に働いてくれるつゆを残しておかなければいけないからです。
湿潤療法はどんな傷でも治してくれる?
こんな場合は病院へ行きましょう
家庭でもできる対処法をお伝えしてきましたが、不安な場合や判断に困る場合はまずは病院へ行きましょう。
ただし、病院によっては湿潤療法を行なっていないところもあるのでネットなどで調べて病院を選ぶのがいいかもしれません。
あまり大きな声では言えませんが、わりと年配の医師だと湿潤療法を知らなかったり、傷をいきなり消毒してステロイド軟膏を塗るなんてところもありますからね…
私の病院でもふるーい治療をされたけど良くならなくてネットで湿潤療法を調べて遠くから来るという患者さんもいました。
とくに救急で受診した場合なんかは専門医にあたる確率はとても低いですからね。
話がそれてしまいましたが、こんな場合は病院へ行きましょう。
- 血が止まらない
- 犬や猫などの動物に噛まれて腫れたり赤くなったりしている(感染症のおそれがあるので早めに受診しましょう)
- 傷周囲などがしびれている(神経障害の可能性があります。整形外科を受診しましょう)
- 古い釘を踏んだり、農作業の機械や刃物でケガをした(ばい菌が入ったり最悪の場合は破傷風の恐れがあるので至急病院へ行きましょう)
- 傷の中に異物(とげや金属片など)が入っている
- 砂や泥が入り込んでいる(表面麻酔でキレイに洗浄してもらうと治ったときに跡が目立ちません)
- 熱が出たり、傷が赤く腫れたりうみが出ている場合(ばい菌が入っている可能性があります)
- 広範囲のやけどや水ぶくれが大きいやけど
(やけどの水ぶくれはやぶいてその皮をキレイに取ってもらう必要があります。キレイに治す為にはやけどの場合は1度病院へ行くことをおすすめします)
ばい菌などが入っている可能性がある場合は病院で治療しなくてはいけません。
顔や目立つ場所の傷の場合も自分でやるより湿潤療法を行なっている外来や形成外科に行く方がいいかもしれませんね。
どんなものを使って治したらいいの?
実際に何をしようして湿潤療法を行なうかを説明しますね!
医療用品編
ハイドロコロイド被覆材
これはキズパワーパッドなどドラッグストアでも購入できる一般的にありふれている商品です。
つゆが少ない浅い傷や切り傷などに使用できます。
なんといっても貼ったとたんに痛みががくっと減ります!
貼ったものとつゆが反応して白っぽく素材が中で溶けていくような感じです。
病院ではデュオアクティブという薄茶色のシートタイプのものを使用しているところが多いと思います。
一部の皮膚科では1シートを800円で販売しているところもあるようです.
成分は同じなので使いやすい形を選んで購入するといいですね。
病院で使用しているデュオアクティブはキズパワーパッドよりも剥がれやすいのでさらに上に保護フィルムなどが必要ですが、ドラッグストアなどで売っているものはしっかりくっついてくれるのでそのまま貼っても剥がれにくいという利点があります。
こちらは病院のタイプと同様で必要なサイズを切って使用するものです。
ドラッグストアでもキズパワーパッドよりも安いものも売っているので、店員さんにハイドロコロイドの絆創膏が売っているか聞くと色々な種類を教えてくれるかもしれません。
注意
キズパワーパッドには数日間貼ってもいいと書いてありますが、できれば毎日貼りかえた方がいいです。
貼りかえの際はくれぐれも消毒しないで水道水で洗う程度にしてくださいね。
・プラスモイスト
プラスモイストは商品名なのかもしれません。
湿潤療法を行なっている外来で実際に使用しているものです。
このプラスモイスト、ある程度浸出液を吸収しつつも乾燥させないような素材になっています。
なのでハイドロコロイドの被覆材ではつゆが多すぎて吸収できないようなケガの初期はこちらが向いています。
やけどの場合もつゆが多く出るので、まずプラスモイストを使用することが多いです。
使い方は、まず傷のサイズに合わせて切ります。
そのままではくっつかないので上からテープで固定したり、包帯を巻くなどしないといけません。
自宅交換する場合、患者さんには病院の売店で購入してもらいますが、ネットで購入した方がサイズも大きくて安いそうです。
(患者さんが教えてくれましたー!)
こちらですね↓
テープがセットになっているので、これを購入したらすぐに使用できます。
ネットで調べると絆創膏タイプになっているプラスモイストもあるようです。
傷のサイズ次第ですが、絆創膏のようになっていると貼る時に便利ですね。
家庭にあるもので代用できちゃう!
医療用品がないときはこれを使おう
湿潤療法はつゆ(浸出液)を逃がさないようにして乾燥させずに治します。
実は医療用品を使用しなくても家庭にあるものやスーパーなどで売っているものを使ってこれを行なうこともできるんです。
もちろん私が考えたデタラメなんかではなく、病院でも患者さんの金銭的な負担を減らすためにこのような方法をお伝えすることがありますよ。
その方法は穴あきビニール袋+ペットシーツを使用する方法です。
穴あきビニールってよく生ゴミの水切りに使うような何十枚も入って100円とかのものです。
ペットシーツは紙おむつや生理用品でも代用できますが、安くて薄くて使いやすいのはやはりペットシーツですね。
切って使用するので端から吸収ポリマーがぽろぽろ出てきてしまいますが、ビニールテープなどで切り口を保護すれば大丈夫です。
方法はとっても簡単です。
step
1傷に穴あきビニールを直接貼る
つゆが多いか少ないか判断できない場合は、うすくワセリンを塗ってから穴あきビニールを貼りましょう。
ワセリンもドラッグストアで数百円で買えますよ。
ワセリンを直接傷に塗るのが怖いときは、ビニール袋側にうすく付けるといいでしょう。
step
2貼ったビニールより一回り大きなサイズに切ったペットシーツを当てて、テープや包帯で固定する
固定するテープはどのようなタイプでもかまいません。
つゆが多いときは、当てるペットシーツのサイズを大きめにするか、こまめに取り替えるようにしてくださいね。
これで傷口は乾燥しないし、余分なつゆはしっかり吸い取ってくれるんです。
おまけに、この方法だと傷が多少赤くなっていたりうみが出ていても行なえます。
まあ、そのような状態の場合は一度は病院へ行く方がいいですが、すぐに行けないときなどはこの対処法で試してみてください。
つゆが少なくなってきたらワセリンは塗った方がいいです。
もしくはハイドロコロイドの絆創膏に切り替えてくださいね。
切り傷で血が止まらないときはどうしたらいい?
自宅でできる対処法ってある?
包丁やスライサーなどで指を切ってしまったらなかなか血が止まりませんよね。
このような場合、まずやらなくちゃいけないのは圧迫止血です。
切った傷の場所を直接上から押さえてください。
ガーゼやタオルでも何でもいいので傷に当てて、その上からぐっと傷を押さえます。
間違えても血が出ている場所の下側をしばったりゴムで止血なんてことはしないでくださいね。
直接押さえないで下側をしばって血を止めると、一旦は止まったように見えてもそれを外すと血がどばっと出てきてしまったり、最悪しばりすぎて切った傷と関係のない場所がしびれたり血の流れが悪くなるなんてこともあり得ますからね。
必ず、切って血が出ている場所をしっかりと押さえてください。
それでも
- 30分以上も血が止まらない
- 真っ赤な血が出てくる
- ひふがそげている(欠損した)
場合は病院へ行きましょう。
圧迫止血で血が止まれば、その傷の場所をハイドロコロイド素材のもので保護すると痛みも軽減されます。
私もたまに料理していて指をきってしまいますが、この方法でだいたい1週間以内にきれいさっぱりと完治します。
止血に適したものとしてソーブサンやカルトスタットといった被覆材を病院では使用することが多いです。
これもAmazonなどでは購入できるようですが、家庭ではめったに使うことはないですから止まりにくいときは迷わず病院です!
よくケガをする人はこちらからどうぞ↓
傷に直接ソーブサンを貼り、その上にプラスモイストを貼る方法が主流でしょうか。
ソーブサンの上にペットシーツで代用でもいいかもしれませんね。
おわりに
湿潤療法のまとめ
傷は乾燥させる時代からじくじくさせたまま治す時代に変わりました。
早くキレイに治せて、しかも痛みも減るので子どもだけじゃなくて大人にもとってもオススメの治療。
家庭で代用できる方法もあるので転んで擦りむいたりした子どものケガなんかにも是非活用してみてくださいね。